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純資産価額算定上の未決済デリバティブ取引計上の可否
- 2013年10月15日
- こんにちは、東京都文京区会計事務所の税理士伊藤俊一です。
さて、今回は完全にプロ仕様のお話になります。かなり難しいのでご興味のない方はすっとばしてくださいね。
ヘッジ目的ではない、主として投機目的のデリバティブ取引の未決済デリバティブ評価損益は法人税法上、その評価損益を益金または損金に計上することが原則となります。
ただし、実際には円高の影響で投機目的のデリバティブ取引の未決済評価損益は大幅な損失になることが多く計上していないことがほとんどだと思われます。
税務署としても損失が計上されないことは、税金を高く徴収できますので何もいいません。
会社側としても与信の問題から計上したがりません。ということで、計上している会社はほぼないと思われます。
ただし、株価の引き下げを行う場合、デリバティブの未決済部分が損失になっていると、利益を大きく減少させることができ、大変大きな効果をもたらします。
そこで本題ですが、この未決済のデリバティブ損益の株価に与える影響を考察しますと、
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hyoka/08/05.htm
にかいてあるとおり、純資産価額方式での算定では負債として控除できません。
実際にこんな裁決例が出ています。
http://www.kfs.go.jp/service/JP/88/16/index.html
ここでも未決済デリバティブを資産負債として計上することはNOと明確にしていますね。
さて、本題はここからです。純資産価額方式ではNOですが、類似業種比準価額での純資産価額の取り扱いはどうなるかという点です。これについては
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hyoka/08/05.htm
上記と同じページの注意書きにありますとおり、法人税法上の処理が適正である限り控除可能です。
ここが非常に大きな違いとなります。もともと法人税法上の原則処理は損益処理ですので、そこで算定された純資産価額はそのまま使えるという、ごく当然の結論となります。実務上、株価引き下げ対策としてこの手段を選択される方はかなり少ないかもしれませんが
実際の適用についてはご留意ください。
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