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現行財産評価基本通達202項改正前(旧法)において困難と考えられた評価方法(1)
- 2017年06月23日
- 佐藤英明教授は,旧法下時代に民事信託の評価の問題点について指摘していた 。後述するように,20年以上前から指摘されてきた問題は,信託法改正に伴う税制改正によっても現実的には未だに解消されていない。その理由はいくつか推定できる。信託法の適用はわが国の歴史上,従来,商事信託がほぼすべてであった。商事信託が先行し,それに付随する形で会計処理,及び税務の考え方がついてきた。佐藤教授の指摘するような,こと民事信託に係る問題点については,実務上の需要がなかったという背景もなかったであろうし,それにより,民事信託特有の論点について研究もあまり積極的になされてこなかったというのが実情なのではないだろうかと思慮する。平成19年改正によりようやく民事信託という概念が一般的にも広がり,時代のニーズも伴って,それでようやく研究が着手されてきたと思慮する。そもそも商事信託ですら,会計処理やそれに沿った税務は後追いで付してこられたという事実もあるのに民事信託に関してはましてや研究は追いついていないというのが実情であったのではないだろうか。
また,信託税制の改正は平成19年に施行されたが,その元となる信託法は大正11年から改正が全くなされてこなかった。元となる法律の改正がなければそれに対応する税制の改正もなかったことは当然であり,議論や検討も非常に少ないのは至極当たり前であったといえよう。